アフガニスタンという国は、ニュースでは政治情勢が取り上げられることが多いですが、その地理そのものが詳しく語られることはあまりありません。
しかし、アフガニスタンの地図を見て位置や地形を確認すると、この国のまったく違った姿が見えてきます。
本サイトの「アジアのわかりやすい地図シリーズ」では、アジアの各地域の地図を紹介していますが、アフガニスタンはそのどのアジア区分にも単純に位置づけることが難しい国です。
そこで本記事では、アフガニスタンを一つの独立したテーマとして取り上げ、地図をもとに、位置・地形・国境を整理しながら、この国の地理的な特徴を読み解いていきます。
都市の配置や自然地形、周辺地域との位置関係を確認すると、この国が複数の地域の境界にありながらも、容易には一体化しない構造をもっていることが見えてきます。
地図を通して見ることで、なぜこの国がアジアのどの区分にも単純には収まらないのかを、立体的に理解できます。
アフガニスタンは南アジア?中央アジア?西アジア?
アフガニスタンは、資料や立場によって、南アジア・中央アジア・西アジアのいずれにも分類されることがある国です。
つまり、アフガニスタンの地域区分は明確に固定されているわけではありません。
これは単なる学術上の違いではなく、アフガニスタンの地理的条件そのものに由来しています。
そこで次の章からは、実際にアフガニスタンの地図を確認しながら、その位置関係を見ていきます。
アフガニスタンはどこにある?地図で確認
まずは、アフガニスタンの位置を地図で確認してみましょう。

アフガニスタンはユーラシア大陸の内陸部に位置し、海に面していません。
周辺には、中央アジア、イラン高原、インド亜大陸といった、性格の異なる地域が隣接しています。
地図上では、
が広がっており、アフガニスタンはそれらの境目に位置しているように見えます。
しかし重要なのは、「境界にある=自然なつなぎ目である」とは限らないという点です。
後の章で詳しく見ていきますが、アフガニスタンは山岳や高原が大部分を占め、周辺と連続する広い平野がほとんどなく、山地によって強く区切られています。
そのため、南アジアや中央アジアの一部として自然に組み込まれにくいのです。
アフガニスタンの地図|都市と自然地形
ここでは、アフガニスタンの主要都市の位置関係と自然地形を地図で確認してみましょう。
首都・主要都市入り地図
まずは首都と主要都市の位置を確認し、アフガニスタンの人の拠点がどこにあるのかを見てみましょう。

自然地形入り地図
次にアフガニスタンの自然地形を見ていきます。
なぜアフガニスタンがアジアのどの地域区分にも単純には当てはまらないのかが見えてきます。

この地図から読み取れるポイントは、主に次のとおりです。
このことから、アフガニスタンは一体的な平野空間を持つ国ではなく、「地形によって分けられた地域の集合体」であることがわかります。
アフガニスタンの地形|山と高原がつくる国のかたち

アフガニスタンの地形を特徴づけるのは、国土を貫くヒンドゥークシュ山脈と周囲の高原です。
山脈は国の中央から東部に連なり、国土を分断して東西・南北の移動を難しくしています。
高原には盆地や小規模な平野が点在し、都市や集落はそれぞれの谷や盆地を単位に形成されてきました。
このような地形では国全体が一体化しにくく、地域ごとのまとまりが強まります。
また、外部勢力が全土を安定して支配することも容易ではありません。
アフガニスタンは「文明の交差点」や「シルクロードの通り道」とも言われますが、実際に人や物が行き来できたのは限られた谷や峠に沿ったルートだけで、大規模な往来が可能な広い平野はほとんどありませんでした。
こうした山と高原を基調とする地形が、周辺地域との地理的連続性を弱める一因となっています。
その特徴は、国土の最東端に伸びる細長い地域にもはっきりと表れています。
アフガニスタン最東端「ワハーン回廊」

アフガニスタンの地図を見ると、北東方向に細く長く伸びた地域があることに気づきます。
この細長い部分は「ワハーン回廊」と呼ばれています。

ワハーン回廊は19世紀末、「イギリス領インドとロシア帝国の勢力が直接接しないように」設けられた緩衝地帯です。
その結果、アフガニスタンの国土は不自然なほど細長く東へ伸びる形になりました。
この回廊の最東端で、アフガニスタンは中国(新疆ウイグル自治区)とわずかに国境を接しています。
アフガニスタンが中国と接していることは、地図を見なければ意外に思われるかもしれません。
しかし実際のワハーン回廊は標高の高い山岳地帯が続く地域で、交通はきわめて困難です。
ヒンドゥークシュ山脈やパミール高原の一角にあたり、広い平野はほとんどありません。
この細長い回廊は、アフガニスタンが周辺のどの地域とも単純には結びつかないことを象徴する存在でもあります。
地理的にも歴史的にも「境界」に置かれた空間が、そのまま国土の形として残っているのです。
パキスタンとの国境「デュアランドライン」
現在のアフガニスタン南東部には、イギリス領インド時代に引かれた「デュアランドライン」という国境線があります。

これは、現在のパキスタンとの約2,640kmにも及ぶ国境線となっています。
しかし、地形や部族の居住域を十分に反映したものではなく、実際にはこの線は山岳地帯を横断しています。
そのため、たとえば国境の両側に同じ民族が暮らしている地域などもあります。
国境線と地形、生活圏の分布が一致しない地域が生まれているのです。
このように、国境と地理が必ずしも重ならないという視点は、アフガニスタンを理解するうえで欠かせません。
アフガニスタンの気候|乾燥と標高が生む多様性

アフガニスタンの気候の大きな特徴は、「乾燥地域であること」と「標高差が極端に大きいこと」です。
国全体は内陸に位置し、海からの湿った空気が届きにくいため、多くの地域は乾燥〜半乾燥気候に分類されます。
中央部から北東部にかけての山岳地帯では、冬は厳しく、地域によっては長期間雪に覆われます。
同じ緯度でも、平野部とはまったく異なる寒冷な気候です。
南部や西部の盆地・平野では、夏は非常に暑く降水量も少ない乾燥気候になります。
昼夜の寒暖差が大きい点も特徴です。
このように、標高によってまったく異なる気候帯が重なり合うことが、居住や農業の形にも影響を与えています。
コラム:暮らす人からみたアフガニスタン
アフガニスタンの都市や人々の暮らしを具体的に想像する手がかりとして、首都カーブルを舞台にした小説『君のためなら千回でも』があります。
作中では、冬の凧揚げ大会や土壁の家が並ぶ坂道、乾いた空気の中で営まれる日常が描かれ、抽象的になりがちな都市空間を生活者の視点から立体的にイメージできます。
アフガニスタンは多民族社会でもあり、パシュトゥーン人をはじめ、言語や文化の異なる民族が同じ国で暮らしています。
ソ連侵攻や内戦、タリバン政権などの大きな出来事も、ニュースで語られる政治や軍事だけでなく、そこで暮らす人々の日常の中で経験されてきたものです。
外側からでは見えにくいアフガニスタンの姿を知るうえで、こうした生活描写は貴重な手がかりになります。
まとめ|なぜアフガニスタンはアジア区分に収まりにくいのか
アフガニスタンを地図で見ていくと、この国がどのアジア区分にも収まりにくい理由が見えてきます。
南アジアにはインド平原があり、中央アジアには広大なステップが広がっていますが、アフガニスタンには、このような地域全体を一体化させるような大きな平野がありません。
そのため、この国は文化圏の「境界」に位置するというより、「山と高原によって成立した一つの独立した地理単位」として理解する方がしっくりくるかもしれません。
アジアは地図の上ではいくつかの地域に区分されますが、その境界は必ずしもはっきりしているわけではありません。
アフガニスタンは、そのことを最もよく示している国の一つと言えます。
アフガニスタンの地図を通して見ると、この国が単純に南アジア・中央アジア・西アジアのいずれかに分類できない理由が、より立体的に理解できます。
この記事が、政治や国際情勢の文脈だけで語られがちなアフガニスタンを、その背景にある地形や気候から見つめ直すための一つの視点となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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