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アジアの出稼ぎ労働者を描いた映画3選

アジアの労働者 映画で学ぶアジア
映画で学ぶアジア

アジアの中の賃金格差は大きく、賃金の高いアジアの国には多くの出稼ぎ労働者がいます。

出稼ぎ労働者といっても、合法的に働いている人、滞在中にビザが切れてそのまま不法滞在で働いている人、最初から密航等で違法に入国して働く人など、様々です。

今回は、NetflixやAmazon Prime Videoでも観ることのできる、アジアの出稼ぎ労働者を扱った映画3本をご紹介します。

2本はシンガポール、1本はマレーシアを舞台にしています。どちらの国も周辺のアジア諸国からの多くの出稼ぎ労働者が働いています。

※以下には一部ネタバレを含む記述があります。



『イロイロ ぬくもりの記憶』

原題:ILO ILO/爸媽不在家
製作年:2013年 / 製作国:シンガポール / 時間:99分
監督:アンソニー・チェン

シンガポールに出稼ぎにきたフィリピン人家政婦と就業先のシンガポール人家族との交流を描いた作品。

シンガポール HDB

シンガポールは共働き率が高く、一般家庭が家政婦を雇うことは珍しくありません。

フィリピン人家政婦は、初めは就業先の家庭になじめず、子供から軽んじて見られたり、明らかに理不尽な処遇を受けたりと、悔しさや寂しさを味わうことになります。

結婚式に同行しても自分だけ来客用テーブルではなく、楽屋のようなところで食事をするシーンはリアルで切なくなります。きっと、実際にこんな思いをしている外国人の家政婦さんは多いのでしょう。

国にも職業にも貴賤はないはずなのに、「外国人だから」「家政婦だから」という理由で下に見たり、尊厳を傷つけたりということが平然とまかり通っている不条理に憤りも感じます。

それでも、フィリピン人家政婦にも大切な家族がいること、感情があること、自分たちと同じように悩んだり苦しんだりする一人の人間なのだという当たり前のことに子供が気付くようになり、徐々に心を通わせていきます。途中ではいろいろ考えさせられながらも、最後には心温まる作品となっています。

ポイント: フィリピン人の出稼ぎ

フィリピン政府は海外就労を奨励しており、在外フィリピン人は総人口の1割にも達しています。80年代以降は香港、シンガポールなど近隣のアジア諸国の女性の社会進出に伴って、家事労働者としてフィリピン女性が海外就労するようになりました。

フィリピンでは小さい子供を母国に残して母だけ異国で出稼ぎをするパターンもよくみられます。

多くの場合、家政婦の休日である毎週日曜日には、就業国で働くフィリピン人達が特定の場所に集まっておしゃべりをしたり、食べ物を持ち寄ってわいわい楽しく過ごしている光景が見られます。日ごろはそれぞれの就業先の家庭で孤独に働いてストレスも抱えているであろうフィリピン人家政婦たちにとって、なくてはならない大事な時間です。

この映画では、最後にはフィリピン人家政婦とシンガポールの家族の心が通じ合い、ほっと安心できるものでした。

しかし残念なことに、実際はフィリピン人家政婦をめぐるトラブルはシンガポール、香港、中東などで時々起こっています。「家の中」という外からは見えない空間で、理不尽な扱いを受けている例は後を絶ちません。

↓出稼ぎ労働者が多いフィリピンの社会構造について解説した記事もご参照ください。

『幻土』

原題:A Land Imagined
製作年:2018年 / 製作国:シンガポール・フランス・オランダ / 時間:95分
監督:ヨー・シュウホァ

シンガポールで働く中国人出稼ぎ労働者が仕事の過酷さと孤独から精神に異常をきたして失踪してしまいます。彼の足取りを調べる刑事も、中国人労働者の置かれた環境に自分を重ねてゆき、段々と現実と非現実の区別がつかなくなってゆく・・という話。

シンガポールという国はアジアの中でもとりわけ華やかで先進的で、外国人にとっては憧れの国です。

しかし観光客や地元民が見ているシンガポールの風景と、外国人労働者が見ているそれとは、まるで違います。

外国人労働者の孤独

彼らが見ている風景は、マリーナ・ベイ・サンズでも煌びやかなビル街でもなく、砂だらけの埋め立て地の工事現場。彼らが日々の大半を過ごす場所は、危険と隣合わせの過酷な現場と窮屈な共同部屋。十分な給料もなく、街に繰り出しても惨めな気分になるだけ。

多くの外国人労働者の置かれている状況は、その仕事の過酷さもさることながら、メンタル面での厳しさも際立っています。

異国の地でハードな仕事に就き、まるで「駒」としてしか見なされず、辛さを分かり合える仲間がいなければ、孤独と不安で押しつぶされて平常な精神を保っていられる方が難しいでしょう。

しかもパスポートは雇用主が預かって返してくれないパターンが多く、故郷に帰ることも簡単にはできません。

ただでさえ不安な海外生活。そこで辛さを分かり合える仲間の存在はやはり大切です。

しかしそれ以前に、せめて最低限の労働環境とメンタルケア体制が整っている環境であるべきですが。

ポイント:外国人によって成り立っているシンガポールという国

『幻土』という映画タイトルは、2つの見方ができます。

まず、外国人出稼ぎ労働者にとってのシンガポール。華やかだと思っていたシンガポールは幻の土地で、彼らにとってのシンガポールは孤独で冷たく辛い場所でしかなかったということ。

もう一つの見方は、「シンガポール自体がシンガポールであって、完全にはシンガポールではない幻の土地かもしれない」という見方。シンガポールは多くの外国人出稼ぎ労働者の労働で成り立っており、そもそもシンガポールだと思って立っている土地すらも、実は近隣国から輸入された砂で作られているのです。

『それぞれの正義』

原題:One Two Jaga
製作年:2018年 / 製作国:マレーシア / 時間:85分
監督:ナム・ロン

マレーシアの首都クアラルンプールで働く不法滞在の出稼ぎ労働者たちと、それを取り締まる(はずの)警官たちをめぐる話。

マレーシアに出稼ぎに来ている不法滞在の出稼ぎ労働者たちは、不法滞在が発覚することを何より恐れており、職場に不満があっても正式なところへ訴えることができません。

雇用先を変えたり母国に密航船で帰る手配をしてもらうには、ブローカーから大金をふっかけられたとしても言われるがままにするしかありません。さらに、けがや病気をしても正規の病院には行けないなど、あまりにも大きなリスクを負っています。

一方、警察は不法滞在労働者を見て見ぬふり。都合のいい時だけ彼らを捕まえるフリをして、都合よく彼等から金を巻き上げて見逃しています。

みんな少しずつ、汚職、賄賂、違法行為、悪事に手を染め、お互いそれに目をつぶりながら成り立っているという現実。

マレーシアリンギット

そんな状況に嫌気がさした新米警官がその真実を明かにしようとすると、今まで危ういバランスの上に成り立っていたすべてが崩れてしまい、悲劇が起こってしまいます。

なんとも不条理な気持ちになります。

ポイント:マレーシアを目指す出稼ぎ労働者

アジアの中で比較的裕福なマレーシアも、シンガポール同様に多くの出稼ぎ労働者が働いています。

マレーシアはイスラム教を「正式な宗教」と定めているため、アジアのイスラム教徒の中には、マレーシアでの出稼ぎを目指す人が多いようです。

たとえば、インドネシアはイスラム教徒が多くマレーシアとは言葉も近いため、多くのインドネシア人が働いています。

↓イスラム教をはじめ、マレーシアとインドネシアに文化的共通点が多い理由を解説した記事はこちらです。

また、ミャンマーのロヒンギャは迫害を受けてバングラデシュなどに多数避難していますが、当初マレーシアは同じムスリムのロヒンギャ難民に同情的で、ミャンマー政府の対応を非難し、ロヒンギャ難民を受け入れていたこともありました。すでにマレーシアにいるロヒンギャの親類や知り合いのつながりを頼りに、マレーシアを目指す人々が多くいました。

しかし現在ではこの状況が変わり、新型コロナウィルスの蔓延が広がるにつれてマレーシアも受入れを拒否せざるを得ない状況に変化しています。

出稼ぎ労働者の置かれた環境の共通点

今回ご紹介した3つの映画から、外国人出稼ぎ労働者をめぐる状況にはいくつかの共通点がみられました。

悪徳ブローカーの暗躍

多くの場合、海外で就労を斡旋してもらうには、仲介業者に多額の仲介料を払わなければなりません。そして運悪く悪徳ブローカーにあたってしまうと、紹介される雇用先や労働環境もブラックになってしまう可能性大です。

せっかくお金を稼ぐことを夢見て来たはずなのに、ブラック職場で身を粉にして働いても予定どおりお金が貯まらないどころか、健康やメンタルなど、お金よりもっと大切なものまで失ってしまうことになりかねない事態も。

しかしどうやら悪徳ブローカーはかなり暗躍しているようです。
悪徳ブローカーを見抜けるかどうかが、まず最初の運命の分かれ道かもしれません。

結局、搾取されるのはいつも弱者

お金を稼ぐために仲介業者を通じて海外で働く人達は、お金だけでなく十分な情報や人脈もないことがほとんどで、業者の言うことを信じてそのとおりにするしかありません。適正価格なのかもわからないまま金を取られ、芋づる式にとことん搾取されてしまいます。

仕事に就いてからも雇用主にパスポートや通帳を取られて母国にも簡単に帰れないというパターンも多く、極限まで自由を奪われてしまいます。

残酷ですが、とことんまで追い詰められてしまうのはいつも弱者であるのは、外国人出稼ぎ労働者をめぐる問題でも同じです。

心が大切

人権を尊重されない扱いを受けることも多い出稼ぎ労働者。しかしいくらお金のためとはいえ、ずっとそんな環境にいれば徐々に心もおかしくなってしまいます。

心を壊してしまったら、お金よりもっと大切なものを失ってしまうことだってあります。

貧しい生活をしていると、「お金さえあればなんとかなる」と思うのもわかりますが、心や健康ももっと考慮されてしかるべき。お金は取り戻せても、心や健康を取り戻すことは簡単ではありません。

ここまで、主に出稼ぎ労働者の危うさをあげてきましたが、労働者の方も「とりあえず海外にいけばなんとかなる」と十分な情報収集もなしに自分の人生を賭けてしまうのはだめですね。

お金がなくても、正確な情報を集める、知識つたる、ネットワークをつくるなど、自分の人生を棒に振らないために、できることはある気がします。

既に他人事ではない日本

日本は「技能実習生制度」でアジアから多くの外国人を雇用しています。彼らの中には、職場から逃げ出してシェルターにいる人、失踪して行方不明の人、亡くなった人などが出ていることはニュースでも報じられています。

仕事や労働環境の過酷さ、ケガをしても補償されない、ささいなことで簡単にクビになる、など理由は様々ですが、今回紹介した映画と状況が近い例もあります。

外国人出稼ぎ労働者(技能実習生)と直接関わりをもつ機会がある人はまだ日本ではひと握りですが、実は映画で起きているようなことは既に他人事ではなく、私たちのすぐ近くで起きています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事で、外国人出稼ぎ労働者やアジアについての理解が深まれば嬉しいです。



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