毎年2月頃に迎える中国の旧正月「春節」は有名ですが、実は旧正月を祝う習慣があるのは中国だけではありません。
むしろアジアでは、旧正月の方を重視する地域の方が多いです。
この記事では、意外に知らないアジア各地の旧正月の時期や特徴、過ごし方などをご紹介します。
また、本記事を読むことで次のようなトラブルを防ぐこともできます。
- うっかり旧正月の時期に旅行をしてしまい、混雑や渋滞に巻きこまれた!
- せっかく観光に来たのに、目当てのお店が休業している!
- 外を歩いていたら、いきなり水をかけられた!
- アジアのビジネス相手からの連絡が何日経ってもない!
アジアの旧正月には一体どんなことが行われているのか、みていきましょう。
アジアの旧正月の時期
ほとんどの場合、アジアでも日本と同じ新暦の1月1日のお正月も祝日となりますが、休みは1日だけ。盛大に祝うのは旧正月の方です。
ただし、アジアの旧正月の時期は全て同じではありません。
アジアの旧正月は2つの時期に分かれます。
中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、シンガポール、マレーシア、沖縄
タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア
では、それぞれの時期に分けて旧正月の様子をご紹介します。
1月下旬~2月初旬に旧正月を迎える国
これらの地域は、中国の春節と同時期に旧正月を迎えます。
太陰太陽暦の1種である中国暦にそって旧正月を迎えるため、毎年少しずつ時期が異なります。そのため、旧正月の時期は毎年発表されるシステムです。
旧正月は、3日~1週間程度の連休となる地域が多いです。
1月下旬~2月はじめに旧正月を迎える各地の様子をご紹介します。
中国

中国の旧正月は「春節」です。
1週間もの長期休暇となるため、帰省する人はもちろん、国内旅行、海外旅行などその過ごし方はバリエーションに富んでいます。
日本でも中国と取引がある多くの企業は、1週間ほど業務が止まってしまうこの時期には事前の調整が欠かせませんね。
春節を迎える準備としては、大掃除をして春節の飾り物をします。「福」と書かれた飾り字を家の門や壁にさかさまにして飾るのも定番です。
日本の大晦日にあたる「徐夕」には、家族でごちそうを食べながら過ごします。
北京など中国北方では、大晦日から家族で集まって餃子作りをし、新年を迎えるころに食べる風習があります。
一方、上海などは、春節には餃子ではなく「あん入り団子」を食べます。
春節を迎えると挨拶周りをするのが定番でしたが、最近はスマホや携帯のWeChatでの挨拶が主流になってきています。また、赤い紙でお金を包んだ「紅包」というお年玉を渡す習慣があります。
※広大な中国では、これ以外にも地方により食べ物や過ごし方は様々なものがあります。
韓国
韓国の旧正月は「ソルラル」と呼ばれ、新暦の正月よりも重要視されます。
通常は3連休ですが、週末と重なる場合は1日ほど連休が長くなります。
3連休とはいえ、韓国ではこの時期に帰省ラッシュを迎え、多くの人が国内を移動します。大渋滞、大混雑は当たり前の一大イベントです。
ソルラルにはソルビムといわれる伝統衣装を着ます。子供たちは特に鮮やかな色のセットンチョゴリという晴れ着を着ます。
新年のあいさつは形式にのっとった方法で年長者に順にお辞儀をしていき、祝いの言葉を交わします。
他にもお年玉を渡したり、祖先のお墓詣りをしたり、正月遊び(駒回しや凧揚げ)をして過ごします。
韓国のお正月の代表的な料理はトックです。だしのスープに細切りにした餅、肉、卵、野菜などが入った料理です。
ベトナム

ベトナムの旧正月は「テト」といいます。
テトは労働法で5連休と決められており、前後の土日と合わせて大晦日の前日から1週間の連休となります。
年間で最も長い休暇となる、ベトナムで最重要の祝祭日です。
田舎に帰省したり、親戚や友人宅を訪問したり、子供にお年玉を渡したりと、過ごし方は日本のお正月とよく似ています。
テトを迎える前には家族で大掃除を行い、家を色鮮やかな花で飾りつけます。
テトの名物料理は「バンチュン」といわれるちまきのような食べ物があります。もち米や具材をバナナの皮で包んで蒸したもので、家族でこれを食べるのがベトナムのお正月の定番です。
マレーシア・シンガポール
マレーシアとシンガポールは、国全体で旧正月を一斉に祝うというわけではありませんが、華人系の国民が祝う旧正月を「チャイニーズ・ニューイヤー」といいます。
多民族国家のマレーシアとシンガポールは、各民族それぞれで重要な日が休日に定められいます。そのため、旧正月の祝日は短めの2日間です。
マレーシア・シンガポールともにチャイナタウンがありますが、獅子舞が開催されたり、爆竹を鳴らしたりと、旧正月の雰囲気を存分に味わえます。
また、チャイニーズニューイヤーの期間に知人宅を訪問する際は、「みかん」を偶数個持参するのを忘れてはいけません。「財をなす」という意味があり、縁起がいいとされています。
沖縄(一部地域)
沖縄ではもともと旧暦の正月を祝っていました。
しかし、日本復帰を控えた時期に展開された「新正月運動」の影響により、1960年代からは多くの家庭で新暦での正月を祝うようになりました。
ただし、漁業に従事する人の多い地域では現在も旧正月が主流です。
旧暦(太陰暦)は漁業に大きく影響する「潮の満ち引き」とも密接に結びついているため、今でも旧暦が用いられているのです。
沖縄は本土よりも神社もお寺も少ないため、必ずしも初詣に神社に行くわけではありません。その代わり、家族や親せき、地元の共同体でお祝いをします。
正月にお餅を食べる習慣はあまりなく、豚肉料理やソーメンが沖縄のお正月によく食べられています。
そして旧正月の朝に初めて汲み上げる「若水」を神棚や仏壇、かまどなどに供えます。さらに、家族同士でその水で「お水撫で」(若水を額に3回つける)をします。
「若返って健康な一年を過ごす」という意味が込められています。
4月中旬に旧正月を迎える国
これらの地域の旧正月は、以前は太陰太陽暦に沿って毎年日程が前後していましたが、最近では4月中旬に時期を固定して祝うようになりました。
これらの地域は歴史的にインドから大きな影響を受けていました。そのため、旧暦だけでなくインド起源の占星術の影響も受けて4月に旧正月を迎えることになったと考えられます。
この地域の旧正月の行事では、「水をかける」というお祝いの仕方が共通しています。
タイ

タイの旧正月は「ソンクラーン」といいます。
タイの旧正月は3日間の祝日に設定されており、多くの人は実家に里帰りをします。
タイでの年間行事は旧暦(太陰暦)に則って行われるのがほとんどですが、旧正月は政府が4月13日から4月15日に固定しています。
ソンクラーンは別名「水かけ祭り」と言われます。通行人同士で水をかけ合う光景がとても有名ですが、もともとは仏像や年長者の手に水をかけてお清めするという儀式でした。
ちなみに、タイは中華系住民も多く、今もその文化を大事にしています。そのため、中国の春節の時期(1月下旬~2月初旬)にはチャイナタウンなどで、毎年爆竹が鳴り響く盛大なお祝いが催されています。
ラオス
ラオスの旧正月はおおむね、毎年4月の13-15日に行われます。
日本と同じように、新年を迎えるにあたって大掃除をします。
熱心な仏教徒が多いラオスでは、正月に仏像、さらには僧侶や敬うべき人にも「水を注ぐ」風習があります。
親しい間柄では、お互いに水を掛け合ったりもします。
また、精霊信仰が息づいているラオスでは、人の体に宿る32の精霊が体内から出ないようにするための「バーシー」という儀式があり、新年の平穏無事を祈願したバーシ―を行います。
ミャンマー
ミャンマーの旧正月も毎年4月の中旬頃に行われます。
まず、4月13日-16日に4日間ほどの正月休暇があり、新年にむけて一年の汚れを落とすため、ティンジャンという「水かけ祭り」が行われます。
これは、ミャンマーで一年で最も盛り上がるお祭りで、いたるところで人々がホースなどで豪快に水をかけあいます。ちょうどミャンマーが一年で一番暑い時期でもあるため、大変盛り上がる行事です。
タイやラオスでも同様に水かけをしますが、ミャンマーはそれよりもさらに激しく白熱する行事です。
それが終わると、毎年4月17日にミャンマー新年の元旦を迎えます。
水かけ祭りの4日間と元旦の計4日間がミャンマーのお正月の祝日で、土日を合わせて7日ほどの連休となることが多いようです。
ミャンマーでは新年に何か良いことをして、その時が良い年になるように祈願します。
カンボジア

カンボジアの旧正月は、毎年4月の13-15日(または4月14日-16日)に行われる「クメール新年祭」です。
カンボジアの人々は何か行事がある度に足しげく寺院に通いお布施をしますが、正月も同様に寺院に足を運び功徳を積んだり、仏像に水を注いで清めます。
また、ミャンマーほど大々的ではないものの、地域によっては人々が水をかけ合うイベントもあります。
日本の正月と同じように、都会の人は帰省して親族で集まってのんびり過ごします。
まとめ
アジアでは旧正月を重視して盛大に祝う光景が今でも見られます。
普段はなかなかなじみのない、その地域独特の伝統的な習慣が見られるのはお正月のおもしろいところですね。
新暦を採用している日本とは正月を祝う時期は異なるものの、普段会えない家族や親戚と集まり、お年玉や贈り物を交換し合ったり、「縁起のいい」ものを取り入れたりする習慣など共通するところも多くみられました。
また、アジアでは「水」が重要な役割を果たしているところも特徴です。
旧正月ではほとんどの地域で商業活動がストップするので、もし旧正月の時期にアジアを訪問する際はご注意ください。
本記事がアジア理解の一助になりましたら幸いです。
参考文献






