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アジアのイスラームー理解し、共に生きるためのヒント

Islam in asia アジアの宗教と信仰
アジアの宗教と信仰

イスラーム教徒の暮らしはどのようなものか、ご存知ですか?

現在、イスラーム教徒の人口が最も多いのは中東ではなく、東南アジアのインドネシアです。

アジアではインドネシア以外にも、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、シンガポールなどの地域に多くのイスラーム教徒が暮らしています。

国連調査によると、2050年にはイスラーム教徒は28億人になると予測されています。

こうした国々は歴史的にも日本との関係が深く、近年はビジネス・留学・観光・長期滞在などによりさらにイスラーム教徒の人々との接点が増えています。

この記事では、以下について紹介しています。

  • アジアのイスラーム教徒とは?
  • イスラーム教徒と接する時のポイント

友人や隣人、あるいはビジネスパートナーとしてイスラーム教徒とかかわる際に役立つ点を解説していますので、ぜひ参考にしてください。



アジアのイスラーム教徒とは?

Children learning al-Qur'an

アジアには、マレー半島、インドネシアの諸島、ボルネオ島、フィリピン群島南部、そしてタイの南部などにイスラーム教徒が暮らしています。

国によってイスラームをめぐる状況は少しずつ異なっています。

マレーシアのイスラーム教徒の状況

マレーシアでは、国民の約60%がマレー人であり、イスラーム教徒です。

マレーシアのイスラーム教徒は全体的に穏健であるといわれます。

一般のマレー人社会では多くの人が毎日の礼拝を履行し、宗教教育や勉強会などにも積極的に参加しています。

また女性はマレーシアで「トゥドゥン」と呼ばれるスカーフを着用し、露出の少ない服装をしている人が多いです。

マレーシアではイスラーム政策が導入されており、イスラーム教育、イスラーム金融およびハラール産業などを推進しています。

ハラールとは、イスラームの教えで「許されているもの」を指します。食べ物・飲み物だけでなく、生活に関わるあらゆるものが含まれます。

とりわけハラール産業では「マレーシアを世界のハラール・ハブにする」という国家戦略が進められています。

ハラールの見本市や国際フォーラムの開催、ハラールの国際基準構築組織の結成、またマレーシアからのハラール品の輸出にも力が入っています。

マレーシアでは国の機関がハラール認証を行っています。国家機関のマレーシア・イスラーム開発局(JAKIM)は、認証基準が最も厳しいハラール認証機関だといわれています。

インドネシアのイスラーム教徒の状況

インドネシア国民は90%以上がイスラーム教徒です。

1998年頃までは開発優先のためにイスラーム色は比較的弱かったのですが、その後の政権交代や世界的なイスラーム復興の動きとも連動し、徐々にイスラーム化が顕著になりました。

ただし、インドネシアは地域によりイスラームに対する厳格さはかなり異なります。

ジャカルタなどの都心部では外国人を含め、様々な宗教の人たちが共存していることもあり、イスラーム教徒であってもかなり自由なふるまいをする人もいます。一方、地方ではイスラームの教えを忠実に守った生活スタイルのイスラーム教徒たちが多いです。

またイスラーム教徒のインドネシア人女性は、スカーフ(インドネシアではジルバブという)を身につけている人も多いですが、必ずしも全員が身に着けているわけではありません。

地域や年齢、個人の考え方などにより、スカーフを着用するか否かはそれぞれで判断します。1980年代にはジルバブの着用が制限されていたこともありますが、近年のインドネシアのイスラーム化によって着用者は増えています。

タイのイスラーム教徒の状況

仏教徒が95%を占めるタイでは、タイ全体のイスラーム教徒は総人口の約4.6%程度です。

イスラーム教徒が特に多く暮らしているのはタイの深南部地域です。ここにはタイのイスラーム教徒の約75%が集住しています。

深南部タイのイスラーム教徒はさらに二種類に分けられます。

東海岸地域に住むイスラーム教徒の人々は、多くがマレー語を話し、マレーシアに頻繁に行き来するなど、文化的にはタイよりもマレーシアに近いといえます。

過去にはイスラーム教徒による分離独立運動があったり、2004年以降は多くのテロ事件がこの地域で起きています。今でも混乱が続いている地域があり、安全とは言えない状況です。

一方、西海岸に住むイスラーム教徒はタイ語を母語とし、政治的に大きな問題になったことはありません。

タイ南部に住むイスラーム教徒でも、東海岸と西海岸ではかなり状況は異なります。

フィリピンのイスラーム教徒の状況

人口の90%をキリスト教徒が占めるフィリピンでもイスラーム教徒は少数派で、人口の約7%程度います。

フィリピンのイスラーム教徒は南部のミンダナオ島やスールー諸島などに多く暮らしています。

ARMM

フィリピンではイスラーム教徒を「モロ(Moro)」という総称で呼ぶことがあります。

16世紀にスペインの支配を受けたフィリピンでは多くの人がカトリックに改宗しましたが、ミンダナオ島やスールー諸島はスペインに抵抗し、実効支配されることはありませんでした。

しかし20世紀にアメリカによる植民地統治がはじまると、キリスト教徒がイスラーム教徒の多い地域に入植し、異教徒間で土地をめぐる争いが起きるようになりました。

それがやがてフィリピンからのイスラーム教徒(モロ)の分離独立を求める運動になりました。

次第にモロの武装勢力と政府軍の内戦に発展し、和平交渉を継続しながらグループ自体も分裂や他のグループとの合併などを繰り返し、散発的な武力衝突が頻発していました。

国内外含めて交渉には複数の国や団体が携わり、2019年2月にバンサモロ暫定自治政府が設立されました。

現在は正式なバンサモロ自治政府成立に向けた移行期間にあります(2022年現在)。

ブルネイのイスラーム教徒の状況

ブルネイは東南アジアの中ではイスラームに関して最も厳格といわれます。

イスラム教はブルネイの国教で、国民の約81%がイスラム教徒です。

1984年の独立以後、国王は宗教上の権威(スルタン)であり、実質的に国政も掌握しています。

イスラーム教はブルネイの国政において重要な役割を担っています。

たとえば、ブルネイは2014年に東南アジアで初めて国としてシャリーア刑法を導入し、2019年からは本格施行されました。

シャリーアとは、コーランや預言者ムハンマドの言行をもとに作られたイスラームの法律で、生活のあらゆる点において従うべき規範が具体的に示されています

シャリーア刑法の処罰の対象となる行為は、人前での飲酒・喫煙、不倫、同性愛、イスラームの冒涜などです。外国人や非イスラム教徒も対象となるされるものもあり、注意が必要です。

このように、アジアのイスラーム教徒の置かれた状況には地域によってかなり違いがあるというのが実情です。



イスラーム教徒と接する時のポイント

Salat

次に、イスラーム教徒と接する場合に知っておきたいポイントについて解説します。

前提:地域差・個人差がある

まず前提として知っておいた方がよいことは、イスラームの教義の実践には、地域差や個人差がかなりあるということです。

たとえば、一般的にイスラーム教徒は酒類を飲まないとされていますが、必ずしもそうでない地域もあります。

また、その土地ならではの慣習や伝統の影響を受けている場合もあるため、イスラーム教義の日常生活での実践方法は地域によって違いが出てくるのも当然です。

基本的には、イスラームの教義の実践の仕方についてイスラーム教徒以外がその可否を述べるのは避けたいところです。

以下では、必ずしも全てのイスラーム教徒にあてはまらないものもあるという前提のもと、基本知識としてイスラーム教徒と接する場合に覚えておくと良いポイントをご紹介します。

5つの行い

イスラーム教徒には、守るべき5つの行いがあります。

  1. 信仰告白
    「神以外に神はなく、ムハンマドは神の使徒なり」と言うこと
  2. 一日5回の礼拝
    夜明け前、正午過ぎ、午後、日没後、夜の5回
  3.  恵まれない人への喜捨
    自分の収入の中から一定額を困窮者へ喜捨する
  4.  ラマダーンの断食
    日の出一時間半前から日没まで飲食不可
  5. メッカへの巡礼
    一生に一回はすべきとされている

この中で、イスラーム教徒と接する際に特に留意した方がよいのは、「一日5回の礼拝」と「ラマダーンの断食」についてです。

一日5回の礼拝

礼拝は、特別な理由がない限りは基本的に毎日行います。

現地では、礼拝の時間になるとモスクから「アザーン」という礼拝の呼びかけが流れます。アザーンはテレビでも流れます。

もし日本でイスラーム教徒と接する際は、礼拝の時間に気を留めておきましょう。

海外からイスラーム教徒を招く場合は、 簡単な礼拝ができる静かな個室などを準備しておくと良いです。

礼拝はメッカの方角に向かって行いますが、万が一方向がわからない場合、おおまかに「日本からメッカの方角は西北西」ですので、念の為覚えておくと良いでしょう。

現在は、メッカの方角や礼拝の時間を教えてくれるアプリもあるので、それらを利用すると便利です。

ラマダーンの断食

ラマダーンの時期、イスラーム教徒は日中断食をしています。

もし会食などを行う必要がある場合、時間は日没以降に設定した方が良いです。あるいは、どうしても日中に食事を伴うイベントがある場合、食べ物は持ち帰って後で食べられるようにすると喜ばれます。

日中飲食ができないのはつらいのではないかと思うかもしれませんが、実際のイスラーム教徒によると「断食を始めて数日すると徐々に体は慣れてくる」そうなので、過剰に心配する必要はありません。

体はつらいですが、世界中のイスラーム教徒が断食をするこの時期は、イスラームの絆を感じられ、信仰心をさらに深めることができるなど、精神的には充実した気持ちを味わえる時期でもあるといいます。

実生活では柔軟に対応

イスラーム教徒は基本的には上記のような「5つの行い」に沿って生活しますが、実際の生活ではかなり柔軟に対応しています。

どういうことかというと、教義に記されているとおりにできない状況の場合、個々の状況に合わせて変更できるのです。

たとえば、一日5回の礼拝が何らかの理由で時間内にできない場合、数回分をまとめて行うことが可能です。

さらに、一定の距離以上の旅をする場合は、1日5回の礼拝を1日3回に変更することもできます。

また、ラマダーンの断食は旅行者、重労働者、病人、妊婦、乳幼児などは免除できるようにもなっています。

イスラーム教は一見とても厳しい宗教にも思えますが、実は柔軟で寛容な宗教ともいえます。

そのほかのポイント

Halal restaurant

5つの行い以外にも、留意しておくと良いポイントをご紹介します。

初対面のイスラム教徒を出迎える時は、同性の人を必ず含める

人により考え方は異なりますが、婚姻前の異性との交流を避けたいイスラーム教徒もいます。

特に初対面のイスラム教徒の人を出迎える場合は、念の為に本人と同性の人がいるようにした方が良いでしょう。

握手をしたり、モノを渡すときは右手で

イスラーム教では左より右が優先されます。そのため、握手をしたり、モノを渡すときはできるだけ右手で行った方が良いです。

インドネシアやマレーシアでは左手は「不浄」と考える慣習もあるので、赤ちゃんが左手で食べ物を持っていると右手に持ち変えさせることもあります。

女性のスカーフ着用

イスラム教徒の女性が着用するヴェールは中東では一般的には「ヒジャブ」といわれますが、マレーシアやブルネイでは「トゥドゥン」、インドネシアでは「ジルバブ」と呼ばれ、地域により呼び方が違います。

これらは「女性の美しいところ」を隠すために着用するものですが、具体的にどこなのかは実はコーラン(クルアーン)には明言されていません。

「女性の美しいところ」を肌や髪と考え、髪と肌を隠す女性が多いですが、地域や個人によって解釈が異なります。

中東では、ブルカや二カーブといわれる、目以外の全ての部分を隠す衣装を着用する女性も多いですが、アジアのイスラム教徒ではそうした人は少数派です。

アジアのイスラーム教徒の女性の服装は、「スカーフ+露出の少ない服」「スカーフなし+露出の少ない服」「スカーフなし+普通の服」などのパターンがあります。

スカーフ着用をするか否かは本人の解釈と判断によりますので、スカーフ着用の有無と信仰心の深さとは必ずしも関係があるわけではありません。

ハラールについて

ハラールとは、イスラームにおいて合法だと認められたものや行為を指します。

ハラールであると認証されたものにはハラール認証マークが付与されます。

日本ではインバウンド政策と結びついてハラールが急速に広まりましたが、ハラール認証マークさえあれば安心だというほど単純な話ではありません。

ハラール認証機関は世界に多数あります。立地、原材料、輸送経路、保管、加工に至る過程で非常に厳しい審査を行った上でハラール認証を行う機関がある一方、そこまで厳しくない審査でハラール認証を出す機関もあります。

ひとことでハラールといっても、認証機関により審査基準にかなりの差があるのです。

そのため、製品にハラール認証マークがあったとしても、それが本当に信頼出来るものなのかという点を重視する人は少なくありません。

最終的にどれを選ぶかはイスラーム教徒各自が判断することです。

ハラール認証マークの有無に加え、食材や調理方法など必要な情報を正直に伝え、あとは本人の判断に任せるのがよいでしょう。

ちなみにハラールのものがどうしても入手できない場合には、状況に合わせて柔軟に対応し、場合によってはハラールでなくても良しとすることもあります。

まとめ

アジアのイスラーム教徒は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ、シンガポールなどに多く暮らしていますが、その状況は地域により異なります。

また、イスラーム教徒と接する時には留意しておくと良いポイントがいくつかあります。ある時急に必要となることもあるので、覚えておくと便利です。

ただし、イスラームの教義の実践には地域差や個人差があるため、必ずしもイスラーム教徒全員にあてはまらないこともあります。

一見厳しく思えるイスラームですが、状況に合わせて柔軟に対応を変更することも可能であるなど、実は寛容な宗教でもあります。

とはいえ、難しく感じたりわからないこともあると思います。そんな時は、イスラーム教徒に直接聞いてみても問題はありません。興味を持ち、相手を尊重する気持ちが大切です。

本記事がアジアのイスラーム教徒と接する際の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。



参考文献

  • 床呂郁哉ほか『東南アジアのイスラーム』2012. 東京外国語大学出版会
  • 池上彰『池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界』2010. 集英社
  • 内藤正典『となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代』2016. ミシマ社
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