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マレーシア映画のおすすめ10作品を紹介!

Malaysian Movies 映画で学ぶアジア
映画で学ぶアジア

本記事では、マレーシアのおすすめ映画を新旧合わせて10本ご紹介します。

マレーシアは劇場上映のための検閲が比較的厳しいことから、これまで映画製作については周辺のアジア諸国から遅れをとっていたイメージがありました。

しかし、最近ではSNSやストリーミングサービスなどオンラインでの媒体を使って、従来にはなかった自由で優れた作品が数多く発表されています。

マレーシア映画を観てみたい!と思ったら、ぜひ本記事で紹介しているマレーシア映画を参考にしてください。

尚、本記事で紹介する「マレーシア映画」とは、製作国がマレーシアの作品だけでなく、製作国を問わずマレーシアを主な舞台としている作品も含みます。

映画でよく描かれるテーマ:
家族、宗教、霊、多文化社会、都市と農村、歴史、環境問題など

東南アジア各国における映画事情については、こちらの記事をお読みください↓



タレンタイム〜優しい歌

原題:TALENTIME
製作年:2009年
製作国:マレーシア
監督:ヤスミン・アフマド

日本にもファンの多いヤスミン・アフマド監督最後の長編作品。

2009年の作品ながら、当初は日本で公開されず、約8年もの年月を経て2017年についに日本で劇場公開された伝説の映画です。

マレーシアのとある学校で開催される、歌や楽器演奏、ダンスなどを披露する学生達のイベント「タレンタイム」の開催に向けた日々の中で、友情や恋愛、民族や宗教の確執という様々な問題に直面する生徒たちとその家族をめぐる物語。

映画からは、多民族国家マレーシアが抱えうる繊細で時に残酷なテーマがみえてきますが、映画全体を通してそれらすべてを愛で優しく包み込むようなヤスミン監督の暖かい視点が感じられます。

マレーシアでは、同じ国の国民でも民族や宗教が異なる場合は衝突を避けるため、お互い積極的に交流しないといった現状があります。

ヤスミン監督の作品の多くはそんな状況にあえて挑むものが多く、本作でも民族や宗教の分断を超えたところにある、人間の普遍的な愛を描いています。劇中の音楽も素晴らしく、観た人の心に必ず残る作品です。

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↓ヤスミン監督について知るならこちら

PENDATANG (原題)

製作年:2023年
製作国:マレーシア
監督:ケン・キン

2023年末にYouTubeで配信が開始された、マレーシア初のクラウドファンディングによる長編映画。

タイトルの”Pendatang”には、「部外者」「訪問者」「外来者」といった意味があります。

マレーシアにおいて最も敏感なトピックの一つといえる「民族問題」を正面から扱った作品であり、「もしマレーシアで民族隔離政策がすすめられたら?」という架空の設定で物語が展開します。

マレーシアにとっては非常に挑戦的なテーマ設定といえるだけに、劇場での国内上映はおよそ不可能でしょう。

物語は、物々しい雰囲気の中で民族ごとの隔離エリアに新しく引っ越してきた華人一家を中心にすすんでいきます。

他民族との接触は厳しく禁じられているにもかかわらず、なぜか家の屋根裏には取り残されたマレー人の少女が住んでいました。

彼女を一体どうするべきなのか?を巡り、人間の本性や恐怖心がむき出しになる緊迫の展開が繰り広げられます。

一見、民族問題が主題であるかに見える本作ですが、実はパラドクスを描いています。

争いの根本原因は別のところにあるのでは?

自分たちの利益のために争いを引き起こしているのはいったい誰なのかー

我々の身近に存在する「問題」とされる事象の多くも、実はそう思い込まされているだけなのかもしれない・・そんな恐怖すら覚える衝撃的な作品です。

↓クリックすると本編がスタートします。

夕霧花園

原題:夕霧花園/The Garden of Evening Mists
製作年:2019年
製作国:マレーシア
監督:トム・リン

日本軍占領下のマレーシアで命を落とした妹の夢を叶えるため、妹が憧れ続けた日本庭園づくりをマレーシアで実現させようと日本人庭師に師事したマレーシア人の女性。

妹の遺志を引き継いで造園修行をする中で、自分自身も日本庭園の美しさに惹かれていく気持ちと、妹の命を奪った日本への憎しみという相反する思いの狭間で揺れ動く姿が描かれています。

これは、戦時中の日本へ憎悪の感情を抱くと同時に、戦後に知った日本文化の奥深さにも惹かれるという、マレーシアの人々が日本へ抱く複雑な心情ともシンクロします。

作中で描かれる戦中の日本軍の行為はショッキングではありますが、日本への恨みや残虐さを描くだけの映画ではありません。

むしろ、善悪どちらか一方の評価に押し込むことを禁じるかのように、美しく静粛な日本家屋でのシーンと、混乱を極める日本占領期という対照的なシーンが交互に連続し、混乱すら覚えるほどです。

アジア映画で戦時中の日本が描かれる場合、「悪」として描かれることが圧倒的に多いですが、本作はそうした「悪」の側面とともに、日本庭園造りを通して見えてくる日本精神の「善」の側面についても同様に丁寧に描かれており、そこに本作の特徴があります。

日本庭園づくりには自然との調和、ミリ単位での細部へのこだわり、空間や時間までをも考慮した設計など、その根底にある世界観を学ぶ必要があります。また庭園以外にも、「借景」をはじめとする様々な日本の思想や文化に触れ、日本の精神を伝えています。

他人を慮り、奥ゆかしく控えめで多くを語らないというスタンスは、簡単には理解されず、気づかれにくいものでもあります。しかしそこに存在する確固たる信念が伝わった時、長年の遺恨をも溶かすほどの大きな力を持つのかもしれません。

マレーシアやフィリピンでよく知られている「山下財宝」伝説も物語中で重要なカギを握っています。

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ブジャン・ラポック

原題:Pendekar Bujang Lapok
製作年:1959年
製作国:シンガポール
監督:P.ラムリー

マレーシア出身のシンガーソングライター・俳優・映画監督のP.ラムリーの代表作のひとつで、「シンガポールで製作されたマレー映画」というジャンルに位置付けられます。

根無し草の中年トリオ3人が織り成すドタバタ珍道中が描かれています。

貧富の差による明らかな差別があったり、識字率がまだ高くない状況が描かれていたりと、この時代の社会状況も反映されています。

全体的にドリフ的な要素がふんだんに詰め込まれ、分かりやすく、誰も傷つけず、世代を問わず楽しめる笑いに溢れています。

そして、国民的歌手でもあったP.ラムリーの歌唱シーンは圧巻です。

P.ラムリーが活躍した1950-1960年代の映画をみて気づくのは、現在よりかなり「イスラム色が薄い」ということ。女性はヒジャーブ(イスラーム教徒が身に着けるスカーフ)をほとんど付けておらず、かなり自由な服装をしています。また、劇中に宗教的な話題が出てくる頻度も現在に比べてかなり低いようです。

マレーシアでは1970年代に「ダッワ運動」というイスラーム復興の動きが世界的に顕在化して社会にイスラム色が強まり、それを機に女性の服装が保守的になったり、イスラームを軸とした社会改革がすすめられました。

P.ラムリーの映画ではそれ以前の時代のシンガポールやマレーシア社会の様子を垣間見られるという点でも興味深いです。

P.ラムリー引退以降は、表現への規制が厳しくなったことで映画産業は下火となり、2000年代にヤスミン・アフマド監督が登場するまでマレーシア映画は長い低迷時代を送ります。

ラ ルナ

原題:La Luna
製作年:2022年
製作国:マレーシア、シンガポール
監督:M・ライハン・ハリム

伝統的で閉鎖的なマレーシアの村を舞台に、そこに突然現れた若い女性と、彼女が開いたランジェリーショップを巡る物語です。

ランジェリーショップを始めた女性に対し、宗教指導者は激しく反発しますが、その間にいる村人たちはユーモラスで人間味あふれ、おちゃめでチャーミング。

思わずくすっと笑ってしまうシーンが満載で、対立や闇を描く本作の中で、彼らの存在が物語を重くさせすぎず絶妙なバランスを保っています。

女性の自立を描いたアジア映画として本作が優れているのは、宗教そのものを否定するのではなく、それを利用しようとする人間のエゴを鋭く批判している点。

宗教や文化を背景にした抑圧の構造に触れつつ、真正面から問題提起を行っています。

ヤスミン・アフマド作品を彷彿とさせる繊細な演出と、くすっと笑えるユーモア、そして意外性のあるストーリー展開。

テンポよく進む物語の中に、マレーシア社会の矛盾や女性のエンパワーメントという普遍的なテーマがちりばめられています。

15 Malaysia(原題)

製作年:2009年
製作国:マレーシア
監督:ホー・ユーハン、ヤスミン・アフマドほか

『Chocolate』15 Malaysiaより

マレーシアのタブーに切り込む問題作を含む15本のオムニバス映画。マレーシアの15人の監督がそれぞれの個性を発揮しています。

テーマは民族、宗教、国家、政治など多岐にわたり、シリアス、コメディ、サスペンス調のものまで作風も様々です。きわどい内容の作品も含まれているため少々心配になるほどですが、様々な角度でマレーシアという国を内部から除くことのできる興味深い作品です。

15Malaysiaの公式サイトやYouTubeの公式チャンネルでも視聴することが可能です(英語字幕)。



原題:光 GUANG
製作年:2018年
製作国:マレーシア
監督:クエック・シオ・チュアン

自閉症を持つ兄と、その兄を支えながら一緒に暮らす弟。

兄には衝動的な行動が多く、後先や他人の迷惑を考えず、興味をひかれたものに出会うとすぐに突っ走ってしまいます。

そんな兄のために献身的に世話を焼いてきた弟ですが、一向に変わらない兄の態度に精神は疲弊し、ついに限界を迎えてしまいます。

家族なのに一緒に悲しんだり喜んだり、気持ちを共有することができないということは、何に増して辛いことかもしれません。「心が通じあっている」という実感が持てなけば、気力も限界を迎えてしまいます。それでも、家族だからこそ本気で見捨てることもできない……きれいごとではすまされない家族の葛藤の様子がリアルに描かれます。

皆が自分の得意なことを活かし、それぞれが輝ける場所で活躍できれば一番いいのですが、現実には家族としてずっとサポートし続けることには大変な努力が必要です。

本作は実際に自閉症の兄を持つ監督自身の経験を基にしており、自閉症への理解を深めてほしいという思いが込められています。そして、自閉症の監督の兄自身も演技指導などで製作に携わっています。

自閉症当事者が見ている世界と、家族の視点との両方が非常に丁寧に描かれています。

トンビルオ!密林覇王伝説

原題:Tombiruo
製作年:2017年
製作国:マレーシア
監督:セス・ラー二―

マレーシアは、西側のマレー半島と東側のボルネオ島に大きく分かれていますが、本作は東マレーシアが舞台になっている少し珍しい作品です。

トンビルオとは、もともとはボルネオ島に伝わる「森を護る精霊」です。映画では、呪われた出自のもとに生まれ、トンビルオの力を持った青年が仮面のダークヒーローとして東マレーシアの密林を舞台にし、ボルネオ島の自然を破壊しようと企む勢力と戦います。

熱帯雨林のエキソチシズム、古代から伝わる謎めいた伝承や呪いの雰囲気などは、東マレーシア独特の魅力を持ったヒーローだといえます。

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Brother ブラザー 富都(プドゥ)のふたり/アバンとアディ

原題:富都青年/Abang Adik
製作年:2023年
製作国:マレーシア、台湾
監督:ジン・オン

マレーシアの貧困地区で同じ家に暮らすアバンとアディ。血のつながりはないものの、苦しい日常の中でお互いを支え合い、まるで本当の兄弟のように生きています。

アバンは耳が不自由ながらも、精肉店で真面目に働き、誇りを持って生きる道を選びます。しかし、一方のアディは裏社会に足を踏み入れ、危険と紙一重の毎日を送っています。

彼らにはマレーシアのIDカードがなく、免許も取得できず、自由のない厳しい現実に縛られているのです。

そんな彼らに、ある日、すべてを変えてしまう取り返しのつかない悲劇が訪れてー

映画は雑然としたマレーシアの街並みや、生活感あふれる食堂の光景を鮮烈に描き出し、そのリアルな息遣いは観る者を引き込みます。

ただし後半は特に重苦しい展開となり、観るのが辛い場面もあります。

マレーシアには海外からの不法滞在者が多数おり、この物語もIDカードひとつで人生を管理される不法移民二世の現状を鋭く浮き彫りにします。

何らかの理由で国家の庇護を受けられない環境の中で生きる人々の孤独と闘いを映し出す本作は、観る者に深い問いを投げかけます。

アジアの出稼ぎ労働者について紹介したこちらの記事もどうぞ↓↓

サンダカン八番娼館 望郷

製作年:1974年
製作国:日本
監督:熊井啓

マレーシアのボルネオ島に位置するサンダカンという街が主な舞台の日本映画。

19世紀後半~20世紀初頭にかけて、貧しい家計を助けるために島原や天草の港から東アジアや東南アジアに渡って働いた人達は「からゆきさん」と言われていました。

その中には、「奉公」と聞かされながら実際には娼館で働かされた女性たちもいました。しかし、彼女達の存在はやがて国家の恥とされ、長い間その存在は「なかったこと」にされていたのです。

この映画からは、からゆきさんたちが異国の地で経験した苦労のみならず、帰国後にも周囲から受け続けた偏見や心無い言葉による苦しみも語られており、忘れてはならない歴史を伝えています。

日本人が多く住んでいたと言われる当時の海外日本人街の雰囲気も知ることができます。

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まとめ

新旧様々なタイプのマレーシア映画をご紹介しました。

マレーシア映画は、多民族国家マレーシアを反映するかのように非常に多言語かつ多彩なテーマが描かれています。

映画ごとに様々な言語が飛び交い、様々な民族が登場するため、マレーシア映画はイメージがつかみにくいと思うかもしれません。しかし、その姿こそがマレーシアそのものなのだと言えます。

本記事が、マレーシア映画およびマレーシアを知るための参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。



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